いつも迷うんです。
もうちょっと行くべきか?
それとも、、、
上の写真は、あるブラックオパールのルースを真横から見たところです。
そしてこちらも、同じオパールを別の角度から撮影したもの。
ひとつのオパール層の下に、まったく表情の違うもうひとつのオパール層があります。
イヤイヤ、ありそうに見える、が正しい表現でしょうか。
そしてこれが表面の表情。
これで充分魅力的なんですが、最初の写真をご覧いただいておわかりのとおり、この表情の下にとっても魅力的な赤斑が!
もう少しわかりやすいように、矢印付けてみました。
こちらも。
まず現在表面に顔を見せている “ オパール層 ① ” があります。
そして黒いライン “ ポッチ ① ” があって、そしてその下に赤の強い “ オパール層 ② ” があります。
さらに、ポッチは挟みませんが、表情の違った “ オパール層 ③ ” が見えます。
そして最後は “ ポッチ ② ” が最下層の母岩部分として裏面に。
横面のどの方向から見ても、この層状の構造は見えますので、おそらく “ ポッチ ① ” はこのオパール全体を、面上に “ オパール層 ① ” と “ オパール層 ② ” の境界として存在していると思います。
そこで、、、、
悩むんです。。。
現在の表面 “ オパール層 ① ” をもう少し研摩すれば “ オパール層 ② ” の魅力的な美しい赤斑が、違った表情をのぞかせてくれるんじゃないか? と。。。
このオパールが成長していく歴史の中で、何らかの環境変化がこんな姿を生みだし、数百万年、数千万年の後、オパールバカ 私の頭を悩ませることになるとは、、、
もちろん今よりも研摩を進めることのリスクはあります。
当然サイズや重さは減ります。
研摩の過程で割れてしまう可能性もあります。
研摩したからといって、“ オパール層 ② ” が期待通りに存在するとは限りません。
研摩を進めることで、地色自体が薄くなってしまう危険性もあります。
その他、、、、
もう少し行くべきか?
それとも、現状でとどまるべきか?
これは、どんな宝石研磨の現場でも、多くの人達を悩ませるポイント。
「はたして、オパール層 ① を研摩することで、より価値の高くなるような表情があらわれるか?」
今回の判断は、ここで留めることでした。
現在の魅力的な表情を犠牲にしてまで、そしてこのサイズを無駄にしてまで、研摩を進める価値は低い。
それが最終的な判断。
重さ 9.9 ct、大きさ 19.2 x 14.5xmm、厚さ 5.0 mm
なかなか出会えないサイズのブラックオパール。
苦悩の末のブラックオパールです。
是非、ご覧ください。
青空広がる埼玉の空です。