たかが紙切れ、されど・・・。。。

鑑別書

宝石についてくる紙切れの数々。
大事なようで、大事ではない。でもやっぱり必用な・・・。
そんな紙切れのお話です。


お気に入りの宝石を購入するとお店によりいろいろな紙切れ、そう書類の類がついてきます。
鑑定書、鑑別書、保証書、そして領収書などなど。
今でも誤解されることの多い“鑑定書”。
これはダイヤモンドのグレード(価値基準的な位置づけ)を表すもので、ダイヤモンド以外の宝石には存在しません。未だにサファイアの鑑定書だの、オパールの鑑定書だの、と口にしている宝石屋さんも見受けられますが、そんなことを平気で言ってしまう宝石屋さんはちょっと勉強不足、いやいや、もはや宝石屋さんとは呼べない存在。
宝石全般に関係してくるものはご存知のとおり“鑑別書”。
これはその宝石がいったい何なのか?人口的な処理がされているのか?といった鉱物的な分類を明確にしたもので、その宝石の真贋や天然なのかそうでないのか、を見分ける際にはとても重要な書類です。
そして販売したお店が、その販売内容を保証する、文字通りの“保証書”
例えば、あるお店が天然ブラックオパールとして販売したものが、間違いなく天然のブラックオパールであることを、そのお店が保証する、つまり約束する書類です。
最後に“領収書”。
これはそのまま、ある金額を受け取ったというだけの書類。宝石にはあまり関係無しです。
そんな具合にいろいろな書類がついてくるのですが、こうした書類にも落とし穴が存在することをご存知ですか?
“鑑定書”や“鑑別書”を発行する機関も、もとをただせば一企業です。こうした書類を発行する代償に利益を得ているわけです。
現在は業界全体の努力もあり、妙な鑑別機関は少なくなってきたようですが、以前はそれこそ雨後の竹の子のように、怪しげなところがたくさん鑑別機関として営業していました。
体裁だけは第三者としての立場を取っていましたが、その正体はある小売店の子会社だったり、ある特定の業者と癒着があったりと、厳正な鑑定や鑑別ができるような環境にない機関もたくさんありました。
小さな鑑別機関は、少しでも仕事を受注するため特定の業者の言いなりになる。そんな構図もありました。
そう、耐震偽装と同じように。
例えばダイヤモンドのグレードを本来のものより1ランク上げた鑑定書を作成させ、その分高値で売る詐欺まがいの業者。
オレンジのサファイアを全て“パパラチヤサファイア”として鑑別させ、その分高値で販売する業者。
世の中、悪い輩は後を絶ちません。
できるだけ信頼性の高い鑑定、鑑別を得るためには、その機関の信頼性を見極めることがまず大事なことです。また、購入するお店が用意しているものだけでなく、購入する消費者本人がそうした機関へ依頼する、セカンドオピニオンを得る、そのようなことも必要かもしれません。
保証書も同じ。
ここゴールドコーストでもそうですが、オーストラリアで宝石販売しているお店はほとんどがこの保証書を用意して顧客へ渡しています。
ですが、これも曲者。
その保証書を信頼する前に、保証書を発行する、つまり商品を販売するお店自体を信頼できるか?それが大切です。
「当店の商品には全て“国際保証書”がつきますから。」
こんな文句をまさに売り言葉、セールストークとして繰り返し口にするような販売員のいるお店。商品を販売しているのか、保証書を販売しているのかわからないようなこんなお店は・・・・?
“国際”の心地よい響きに惑わされないでください。
宝石の鑑定、鑑別を特技としている人はそうザラにはいません。
ご自分が購入する宝石がどのようなものなのか?本当に思い通りのものを購入したのか?
こうした心配を払拭するためには、“鑑定書”や“鑑別書”はとても大切です。
ですが、その“鑑定書”や“鑑別書”を発行する鑑別機関を鑑別する機関は残念ながらありません。
ご自分の気に入った宝石を手に入れる。
そこには売る側としてのお店や業者さんを判定する目、見極める目が紙切れよりも大事かもしれません。
ほとんどの方は、宝石を鑑別するより人を見る方が得意でしょうから。
注:鑑別機関や業者全てが怪しいを言っているのではありません。もちろん多くの機関や業者さんは、誠実な商売をしています。ですが、中にはごく一部ですが悪いことを考えるものもいる、そういうことをお伝えしたかっただけです。誤解の無いように、念のため。
日本の鑑別機関の業界団体“宝石鑑別団体協議会”のサイトもとても参考になります。

今日は暑い。
記録的な暑さのゴールドコーストです。
目指せTOP10!!
クリックよろしくお願いします



関連する記事

  • エチオピア産染色ブラックオパールについて。その2
    エチオピア産染色ブラックオパールについて。その2 
    さらに3日間、計5日間精製水に浸けられたオパール。 どうなった?   やはり水が茶色っぽく変色しています。 そして黒い粉のようなゴミが、、、 基本的...
  • 商品名?流通名??
    商品名?流通名?? 
    先日、全国宝石学協会のサイトで紹介されていた新種のオパール。 と言っても合成石。 “MexiFire”および“PeruBlu”と呼ばれる合成オパール” 今日は是...
  • オーストラリア産ブラックオパールとして販売されている処理オパールについて。
    オーストラリア産ブラックオパールとして販売されている処理オパールについて。 
    このリング、オーストラリア産ブラックオパールとしてあるサイトで販売されていたものです。 ピンときましたか?   グリーンの地色にオレンジの遊色が躍る...
  • 表と裏の顔をもつ………….
    表と裏の顔をもつ…………. 
    今日ご紹介するのは裏も表もともに美しい宝石面を持つ“リバーシブル”なブラックオパールです。 人間社会ですと“表と裏の顔を持つ”なんて聞くと、あんまり近寄りたくな...
  • 専門家ということ。
    専門家ということ。 
    今日はオーストラリアのお店についてです。 オーストラリアも日本と変わらず、いろいろな種類の小売店やデパートがあります。 郊外には大きなショッピングセンターが多く...

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください