” Wood Opal(ウッド・オパール) “
皆さんも耳にしたことはあると思います。
日本語で “ 珪化木 ”、英語で “ Petrified Wood ”、つまり樹木の化石が、美しいオパールへと変化したものを “ Wood Opal(ウッドオパール)”、あるいは “ Opalized Wood(オパライズドウッド)” と呼ばれます。
“ Pipe Opal(パイプ・オパール)”
こちらはご存知でしょうか?
文字通り、“ パイプ状 ”、あるいは “ 筒状 ” に形成されるオパールをこう呼びます。
今日は、こんな ” Wood Opal ” と “ Pipe Opal ” について少しお話してみようと思います。
これはライトニングリッジ産のウッドオパールです。
筒状の形態にカラフルな遊色が浮かんでいるのが見えます。
そもそもウッドオパールとはどのように形成されるのか?
簡単にお話をしてみましょう。
何かの影響で倒れた樹木や落ちた枝
そうした樹木や枝のほとんどは、そのまま腐ってしまったり、昆虫など他の生物に食べられることで消滅してしまいます。
まれにそうした樹木が、偶然に火山灰や周囲の土壌に覆われ空気から遮断されることで、腐ることも他の生物からの影響も免れることがあります。
その中でも、たまたま周囲にケイ素が豊富に存在した場合、水に溶け込んだケイ素が少しずづ樹木の組織の中に浸透し、分子レベルで置き換わっていきます。
数百万年、数千万年の時を経て、ゆっくりとケイ素は樹木を石化(Petrified)していきます。
これが ” 珪化木 ” です。
こうした珪化木のうち、大自然と地球の気まぐれでケイ素が整然としたフォーメーションを作り、その結果美しい遊色を見せてくれるようになったもの
それが、“ Wood Opal ” です。
珪化木自体は地球上様々な場所で見つかっています。
ですが、そのうちこの写真のような美しい表情を見せてくれるウッドオパールは、ごくごく限られた場所で、ごくごく稀にしか見ることがありません。
上の写真は、オーストラリア、クイーンズランド州で採掘されたウッド(ボルダー)オパールです。
こちらは同じくオーストラリアはライトニングリッジ産のウッド(ブラック)オパールです。
このように美しく、そして安定性のある丈夫なウッドオパールは、オーストラリア産ならではです。
インドネシアやエチオピアなど、他のエリアでも美しいウッドオパールは採掘されますが、オーストラリア産に比べ不安定で、乾燥に弱いものがほとんどです。
こちらのオパールには、ウッドオパール独特の表情、そして樹木の組織(破片)がそのまま残されて見ることができます。
オーストラリアのオパールは、そのほとんどが堆積性オパールで、火山の影響は受けていません。
太古に存在した内海、Eromanga海の海岸線に生息していた樹木が、海岸線の後退によりたっぷりのケイ素を含んだ土壌に埋没してできた、自然の工芸品です。
そして一方の “ パイプオパール ”がこちらの写真のようなオパールです。
まさにパイプ(筒)状になって形成されるオパールで、母岩を貫通するかのように生成されています。
なかでもオーストラリア、クイーンズランド州で採掘される “ Boulder Pipe Opal(ボルダーパイプオパール)”は、たいへん希少で、美しい遊色、表情を見せてくれることで高い評価を受けています。
通常母岩の鉄鉱石や砂岩の中に形成されるパイプオパール。
一般的なボルダーオパールと比較して、その形状ゆえに厚みのある透明なオパール層が特徴です。
母岩の中に連なる、大変美しい透明感のあるパイプオパールは、別名 “ Boulder Crystal Pipe Opal(ボルダークリスタルパイプオパール)”とも呼ばれ、澄んだ色調の美しい遊色を楽しませてくれます。
このタイプのオパールのほとんどは、ブルーとグリーンの色合いがほとんどです。
上の写真のようなオレンジや赤のファイヤーも見せてくれるものは、たいへん希少で宝石的価値も高くなります。
中には母岩のほとんど残っていない、まさに “ クリスタルオパール ” の表情を楽しませてくれる、とても美しいものもあります。
さて、ここで本題です。
時おりオパール業界内で、あるいはマーケット内で、
Wood Opal(ウッドオパール)= Pipe Opal(パイプオパール)
という説明を見かけます。
これは果たして正解でしょうか?
確かにパイプオパールの産出形状はまるで樹木の幹や枝のようです。
まれに
「樹木が倒れ、その樹木が朽ちてできた空洞に形成されたオパールを Pipe Opal、または Wood Opalと呼ぶ」
そんな記述も見かけます。
だれもその正解を目で見ることのできない地球の歴史に、確実な答えはわかりませんが、現在の見解は次のようになります。
パイプオパールとは、筒状に形成されるオパールのこと。
そのような形状の原因となるのは、多くは地質学的な環境、周囲の圧力や水分量に関係していること。
ウッドオパールは、その形状や内包物に、独特な表情を持ち、時には樹木組織の断片を見ることができる。
パイプオパールとウッドオパールの産出地は重なっている。
つまり、すべてのパイプオパールがウッドオパールではなく、また逆にすべてのウッドオパールがパイプオパールではないようなのです。
どちらも希少なパイプオパールとウッドオパール。
確率的にどれくらいなのか想像もつきませんが、
地球の歴史の中で、本当にわずかな確率でパイプとウッド両方の特徴を持った美しいオパールが発見される、ということらしいのです。
たくさんのマイナーやオパール研究者のお話を聞いても、100%確実な答えは聞くとはできませんでしたが、大筋はこんな説明で間違いはないようです。
悠久の長い時間の中でゆっくりとオパールに変化していった、それもコモンオパールと呼ばれる遊色のないオパールではなく、プレシャスオパールと呼ばれるカラフルな表情を見せてくれるオパールに変化していったウッドオパール。
一方、周囲の土壌や圧力、水分の流れ込む速度、そしてその成分の影響により形成されたパイプオパール。
どちらも、歴史上の偶然がいくつもいくつも重ならないことには生まれてくることはありません。
昨年、友人の鉱山で発見された、とても美しいパイプオパール。
中にはウッドオパールの特徴を併せ持つものもあります。
そんな大変貴重なオパールを、まずは14点ですが、サイトにアップしました。
是非、独特な表情をご覧ください。
各地で解されますミネラルショーでも、貴重で美しいオパールたちをご紹介します。
おたのしみに。
今日は “ Wood Opal(ウッドオパール)”と “ Pipe Opal(パイプオパール)”についてお話をさせていただきました。
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