緊 急 情 報

先日、ある日本人ご旅行者とゴールドコーストにあるお土産店の間で起こった、トンでもない事件をご報告します。決して、特定の店や個人を告発するような目的ではありません。あくまでゴールドコーストにいらっしゃる皆さんに注意を呼びかける目的があってのみの報告です。

  • N さん
  • 日本人ご旅行者-日本から娘さんといっしょにご旅行に来られた女性。
  • A
  • ゴールドコーストにあるお土産店の中でも、最も古くからあるお店のオーストラリア人オーナー。
  • B
  • 当社直営店の隣に作業場を持っている宝飾品加工職人(当時)。
  • K
  • ショップOHの販売員。日本人女性。かなり長い間この店で働いている。
  • 八巻
  • 報告者。私自身。


経   過

12月16日、当店にNさんが娘さんとご来店。当店のオパールを見ていただく。Nさんがオパールをご覧になっている間、娘さんに私(八巻)が次のようなお話をお聞きする。
前日に他店(この段階でお店の名前等はお聞きしなかった)でホワイトオパールのブレスレットを購入されたのだが、夕食の際、気が付かないうちにはずれ、落としてしまった。幸い、ブレスレットは足元で見つかり、なくしてしまう事はなかったが、どうやら留金がゆるかったらしく、今日(16日)になって購入したお店に持参し相談した。そのお店では、修理する事をNさんに約束。そして、後ほど修理が済んだものを取りに行くよう、NさんにBの場所を伝える。
そして、その修理が終わったブレスレットを引き取りに来たところ、Bに留金をK9(9金)の新しいものと取り替えたことを言われた。この時、娘さんはブレスレットの素材が18金でない事に気が付き、その後、私に確認を求めた(どのようにして娘さんが気が付いたかはお聞きしておらず、分かりません)。

そこで、ブレスレットを見せていただくと、小粒だけれどもきれいなホワイトオパールが10石用いられている、上品な感じのブレスレットでした。刻印を見てみるとK14(14金)とあり、素材が14金であることを娘さんにお伝えしました。また、留金が9金であるのは、おそらく18金より強いのでそのようにしてくれたのだろうとお伝えし、Bにもそのように言われたとの事で、その件に関しては納得されたようでした。

その際、きれいな石なのでルーペでひとつひとつ見ていた私は、中央部分の石がひとつ割れていることに気がつきました。傷という段階ではなく、石の中央付近で完全に割れてしまっていたので、娘さんにその旨お伝えしたところ、気が付いていなかったようなので、ルーペの使い方をご説明しながら石を見ていただきました。私は、今はどうにか爪に引っかかって留まっているけれど、そのうち落ちてしまうかもしれないので何らかの対処をおすすめしました。この時点では、どの段階で石が割れてしまったのかは話題にはなりませんでした。娘さんがNさんにもその石を見せ、とりあえず購入したお店に相談に行くとの事だったので、当店でご覧いただいていたブラックオパールの指輪(Nさんのお母様へのお土産ということでした)を取り置きしておく事をお約束し、お二人は当店を出て行かれました。(私がその時考えたのはこういうことでした。Nさんがご購入されたお店がオパール店であれば、ホワイトオパールなので色目のあった石をきっと持っていて、 状況によっては若干の追加料金を支払わなければならないかもしれないが、きっとその石だけ取り替えてもらえるだろうということでした。当店はホワイトオパールは取り扱っていないため、この石交換をお手伝いする事は出来なかったので。)

しばらくして戻ってこられたNさんと娘さんに、再度取り置いてあったブラックオパールの指輪を見ていただいていたところ、当店の受付で怒鳴り声がしたので私が確認しに行きました(当店は保安上の理由で、ショウルームと受付の間にセキュリティドアがあります)。すると、ショップOHのオーナーAが、何か当店スタッフに向かって怒鳴っていたので、私もNさん親子をショウルームに残し、Aの話を聞きに行きました。(この時点でNさんの購入したお店がショップOHであることはお聞きしていなかったので、何でAが騒いでいるのか、さっぱり私には分かりませんでした。ちなみにAがショップOHのオーナーである事は知っていました。)

ここでAが私に言ったことの内容は、私(八巻)が自分の店の商品を売りたいがためにNさんをけしかけて、キャンセルさせようとしているということ。ブレスレットにK14の刻印があるのだから、Nさん親子にK18製であるとは言っていないので、そのクレームは受けられないということ。また、Nさんが前日にブレスレットを3回も(ここが後ほどポイントになってきます)落としているから、それが原因で石が割れたので、店には責任がないこと。こうした事を私に向かってわめきたて、『日本人は商売のやり方が汚い』なんてことまで言われてしまった私も、少し興奮気味ではありましたが、Aに次のように話しました。私たちは他店の商品にけちを付けて、お客様に返品をお勧めしたことはないということ。石が割れていたのでそれをNさん親子にお伝えしただけだということ。どこの店からブレスレットをお求めになったかはお聞きしていなかったこと。そして、私に説明されてもしょうがないので、直接Nさんに説明してくれるよう頼んだこと。以上でした。しかし、Aはよほど興奮していたのか、他に何か理由があったのか、Nさん親子のいる当店ショウルームに入る事は拒んだため、私がNさんと娘さんにお願いして受付まで来ていただきました。そのまま、言葉の面で両者の手助けが出来ると考え、話を聞いていると、Aは一方的に店に責任はまったくない事をNさん親子に怒鳴りつけ、再度、私が売上欲しさにNさんをそそのかしているとわめき、なんと、ブレスレットをNさんに投げつけて出て行ってしまったのです。あまりのことにNさんとともに呆然としていた私は、とりあえずNさんお二人のお気持ちを考えて再度ショウルームの中に案内し、接客テーブルを囲んでお話を再度お聞きしました。お二人のお話では、購入した時に日本人のスタッフが18金製であると言っていたことをお聞きしました。気落ちしているNさんを何とか励まそうと、いろいろ雑談していたところに、再びAの声が聞こえてきたのでNさん親子と受付へ出てみると、ショップOHの日本人スタッフKがいっしょに来ていました(NさんがこのKからブレスレットを購入されたのかはお聞きしませんでした)。Aとしては日本語の分かるKを連れて来てNさんに説明しようとしたのだと思います。今回は日本語でのやり取りなので、私は少し後ろに下がって話を聞いていました。Kの話によると、Bに留金の修理に出す前、彼女(K)自身が確認した時は 石は割れていなかったということを主張していました。そこで、話のおかしさに気が付いた私とNさん。Nさんはすかさず、いつ、どの段階で石が割れたのかKに聞き返していました。当然です。Bに修理に出す前に割れていなかったのなら、Aが言っていたように、Nさんが昨日3度も落としたから割れたという話は真っ赤な嘘になってしまうのです。そこを突っ込まれて、Kもうろたえ、それに気が付いたAは、Kの腕をつかみ、彼女を引っ張って逃げるように去っていきました。その際、Kは『私はオーナーじゃないからどうしようも出来ない』と、Aは相変わらずNさんの非と、私をののしっていきました。

その後、私はNさん親子にとりあえずツアーの添乗員さんあるいはガイドさんに連絡を取り、相談してみる事をおすすめしました。たまたまNさん達はかなり大きなグループでいらっしゃっていたので、その団体のツアーデスクに連絡する事が可能ということで、当店から電話をかけ、相談する事をおすすめしたのです。

しばらくして、ツアーの添乗員さんとガイドさんがお出でになり、Nさんに話を聞いた後、その店にNさん親子、添乗員さん、そしてガイドさんで話をしにいったのです。

私の知っている事は以上です。その後、どのような話し合いがされ、最終的にどのような処置が取られたかはわかりません。ただ次の日、わざわざ、お礼を言いにNさんと娘さんがご来店になりました。あまり蒸し返してせっかくの旅行を台無しにしてしまうのも申し訳ない気がして、あえてその後の事はお聞きしませんでしたが、その時点でまだ解決は見ていないようでした。

私、個人としての感想

今回の件で思ったのは、いまだにこんな商売をしているお店があったのかという驚きでした。当サイトの別のところではり合わせのオパールをだまされて買ってしまった方のことに触れましたが、私がオーストラリアでオパールに関るようになった1980年代は妖しげな店も結構ありました。しかし、時代の流れとともに、こうした店は淘汰され、いまどきそのようなことがあるはずはないと思い込んでいた私の認識不足を感じました。
読んでいただいた皆さんにも気づいていただいたとは思いますが、ここでポイントを整理しておく事にします。

何らかの商品を購入する際、特に宝石のような高額なものの場合、商品の隅々までしっかりと確認する事をおすすめします。日本と違い、賞味期限切れの食料品が平気で販売されているオーストラリアです。『買う側は常に自分の責任で商品を選ぶ』というのがこの国の考え方です。また、世界中どの国の観光地でも一緒だとは思いますが、どうしても売る側の一部に『どうせ海外のお客だから』という安易な売りっぱなし根性があるのは間違いないことだと思います。皆さんが購入しようとしている品物を充分に確認し、そして、そのときの販売員の名刺なり、少なくとも名前くらいは聞いておくようにしましょう。

『賢い選び方』でもお話しましたが、値引きや店構え、うたい文句などに惑わされないように注意しましょう。また、客引き行為、おとり商品にも気をつけてください。
今回のショップOHも、日本人スタッフを店の前に立たせ、さかんに客引き行為を行なっている店でした。ちなみに、ゴールドコーストでは、店の外での客引き行為を条例で禁じています。

購入した店のレシート、あるいは領収書は必ずもらい、保管するようにしてください。今回の件では、ショップOHはNさんに対してレシートの発行を拒んだそうです(理由は分かりませんが、ひょっとしたら最初から欠陥商品を売りつけようとしていたのではないかと疑ってしまうのは私だけでしょうか?)。

もし皆さんがオパールを探していらっしゃるのであれば、当社直営店のようなオパール専門店に一度は足を運び、いろいろ説明を聞いてみましょう。オパールはオーストラリアを代表するお土産のひとつですから、たいていのお土産店、免税店等にも置いてあります。しかし、こうした店のスタッフあるいは経営者はオパールを他の商品、例えばぬいぐるみやチョコレートと同じ感覚、ただの商品としてしか考えていません。充分な知識やお手入れ法など、宝石に独特なアドバイスは期待できないと思ってください。こうしたお店で購入してはいけないと言ってるのではありません。まずは、ある程度の知識を身につけるためにも、専門店へ行き、いろいろな話を聞いてみることをおすすめします。

ま と め

私にとって今回の事件はとても悲しいものでした。ゴールドコーストという小さな街で、オパールを世界中から来る旅行者の方に紹介している同業者として、とても恥ずかしい気がしました。このような事件を出来るだけ減らしていくのは、皆さんのようなご旅行者の方々をお迎えする私たちの責任であると思っております。しかし、私たちが出来ることが限られているのはどうしようもなく、こうしてサイトを通じて皆さんに注意をお願いしようと思ったしだいです。
私たちのいちばんの願いは、ゴールドコースト旅行を楽しんでいただきたい、この街を『また来るね』と言っていただけるような場所にしたいということだけです。

追   伸

今回の一件を聞いたゴールドコーストの地元の同業者から、石が割れていることをNさんにお伝えするべきではなかったとアドバイス(?)をもらいました。しかし私たちはこのアドバイスには従えそうにはありません。たとえ私たちの会社が他のこうした同業者たちから非難を浴びようとも。

お 詫 び

当事者のNさんにご了承も得ないまま、当ページを作成しました事をNさんにお詫びさせていただきます。これから日本からのご旅行者が増えてくる時期になります。少しでも早く、こうした方々に注意をお願いいたしたかったゆえのことです。どうかご了承ください。Nさんが最後に言ってくださった、『また来ます』その一言で私たちは救われました。本当に是非また、娘さんともども(今度は旦那さんも一緒に)いらっしゃってください。

追 伸 そ の 2

この出来事は2003年のことですが、その後(2009年)に日本出張の際にNさんと娘さんに再会することができ、お食事をご一緒させていただきながらお話をお伺いする機会がありました。結局、旅行会社の添乗員さんにも協力をしていただき、ブレスレットは交換してもらったようです。久しぶりにお目にかかり、その時のことをお話くださったNさまは、『あの時、ジェムストーリーさんに出会わなかったら、最低な旅行、思い出になっているところでした。もう一度ゴールドコーストにはいつか行きたいと思ってます。』、そんなたいへん嬉しいお言葉をいただきました。少なくとも、Nさん方にとり、ゴールドコーストが悪い思い出だけでなかったこと、それが本当に私たちの救いにもなりました。

本レポートの文責は全て当社、八巻にあります。また、皆さんのご意見、ご質問等をお待ちしております。

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