オパールのもうひとつの顔 。。。

オパール、
美しいだけでなく、その構造ゆえ、別の顔も持っています。
オパールと放射能の関係!?
今日は、そんなオパールの特殊な性質をご紹介したいと思います。


福島の原発事故
汚染されてしまった土地
少なからず思い出のある福島
汚染されてしまった地域の、安全で早急な除染が求められています。
オパールと放射能の意外な関係を示す、こんな記事を見つけました。
Besides Being Gemstones, Opals May Decontaminate Nuclear Sites
アメリカ、スタンフォード大学の研究者が発表した、オパールを利用した放射能除染の記事です。
少し長くなりますが、この記事を訳して皆さんにご紹介したいと思います。
“宝石としてだけでなく、放射能除染にも有効かもしれないオパール”
スタンフォード大学 ― アメリカ合衆国内には、高い放射性を持った大量のウランに汚染されている地域が少なくとも12以上ある。こうした汚染地域のほとんどは、原子力発電所や核兵器の原材料となるウラン鉱石を採掘し精錬する際、あるいは使用したウランを再処理、最終処分する際の、不適切な管理によってもたらされたものである。
こうした汚染地域の除染は、これまで簡単で信頼性があり、効果的な方法が存在しなかった。だが、スタンフォード大学の地球化学者 Kate Maherは非結晶性ケイ素、オパールとしても知られている、を使うことにより、ウランを隔離する方法を提唱している。いったんオパールの中にウランが取込まれると、ウラン原子は固定され化学的に不活性化するのだという。
中略
土壌中あるいは熱水鉱床中、温泉あるいは湧水中、どのような状態であろうと、オパール構造の中に取込まれたウランは、まるで琥珀の中に閉じ込められた昆虫のようである。
天然のオパール鉱区から得られた彼らの調査結果を元に、コンピューターを使ったシュミレーション実験によると、オパール化したケイ素は、これまで実施されたり提案されてきたどんなウラン隔離法よりも、おそらく、より早く、安価で、そして永続製のある方法かもしれない。
Maher博士らは、高融解ケイ素を井戸を通じて地下へ注入し、効果的に汚染地域へ浸透させるという方法を提案している。そのようにして浸透した液状ケイ素が化学的に周りと反応することで、非結晶ケイ素として沈殿、そしてそしてその過程でウランを取込んで行く。
ウラン汚染地域を除染するいろいろな方法が試されてきた。単に汚染土壌を回収し、別の施設で除染をするか、あるいはそのまま永久に廃棄処理をする方法は、たいへんお金の掛かる方法である。それゆえに、より安価に、その汚染地域で除染を完了できる方法が求められている。
中略
ある種の微生物がウランを安定した状態にすることは知られているし、あるタイプの鉄や硫黄も、同様な効果を期待する事ができる。しかし、これらの方法は、継続的にそうした効果のあるとされる物質を、ある一定のレベルに保つ必要があり、いったんこうした状態が変わってしまうと、安定化されたウランが再び不安定に、そして危険な状態に戻ってしまうことになる。
一方、オパール化したケイ素は、明らかにもっと長続きする永続性のあるウランの受け手であるだけでなく、同様の効果があるとされるカルサイトのような鉱物よりも、はるかにたくさんのウランを取込むことができる。
中略
オパール化したケイ素はまた、カルサイトなどの鉱物よりも、より広いPH中で安定している。
ウラン隔離法の様々な方法を調査してきた研究者たちによると、オパールにはこうした安定性だけでなく、他に比べてより短い時間でウランを取込むことが出来る。
「我々のモデル調査によると、Sodium Silicate(ケイ酸ナトリウム)を、10年に満たない期間、汚染地域に注入することで、ほぼエリア全域の地下帯水層を除染する事が出来る」とMaher博士は言う。
中略
いったんオパールに取込まれたウランはとても安定している。ケイ酸塩鉱物は地球の近くの約9割を占めるあたりまえな物質であり、多くの地質的環境中に存在するほとんどの水分が、このケイ素に対し飽和状態であるため、超長期にわたり安定している。そう研究者たちは確信している。
また、ケイ素は比較的安価なため、たいへん手軽な方法である。
「現段階は、天然シリカやオパールの調査、そしてその結果を使ったシュミレーションでの研究段階ですが、研究室レベルでの実験を数ヶ月中に開始し、その後、実際の汚染地域での試験的な運用を始めるつもり」とMaher博士は言う。
後略


長くなってしまいましたが、要は
「ケイ素の溶液を汚染地域に注いでやり、そのケイ素がオパール化する過程でウランを取込み安定化させてしまう」ということらしいんです。
もちろん、短い期間でオパール化させるための方法や、ケイ素をどんな状態、そんな組成で液状化してやるかなど、ここには書かれていないことがたくさんあるのかと思います。
昨年12月の記事、その後の報告はまだのようで、見つけることが出来ませんでした。
はたしてオパールは放射能への対抗策の手段となりえるのか?
ウランだけでなく、セシウムやその他の放射性物質にも同様な効果があるのか?
もちろん、私にはわかりませんが、こんな研究をされている科学者たちがいるんだなぁ、とひとしきり感動させられた記事でした。
日本でも、オパールそのものではなく、プラントオパールを使ったセシウム除染実験などがなされているようですが、いずれにしろ早く良い方法が見つかること、祈るばかりです。。。
追記:そのうち「オパールは放射能に効く!!」なんてたわけたこと言って商売しようとする‘似非宝石商’や‘インチキ占い師’がでてきそうです。
もちろん私は、そのような意図で今日の記事をご紹介したわけではありませんので、どうぞ誤解のないよう、宜しくお願いします。

ちょっと雲多目のゴールドコーストです。


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